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研究事例紹介2

当研究室では、前述のテーマに基づき様々な研究を展開しております。
ここでは、学生らによる近年の主な研究内容をご紹介致します。


個別研究4 イネ栽培における生物的窒素固定


 土地生産性の向上といった観点から、現代の農業生産においては、化学肥料などの農業資材の多投入によって作物生産が行われています。しかしながら、資源多投入型の農業生産では、自然環境に対して負荷をかけていることが指摘されており、これを低減した持続可能な農業生産が求められています。

 生態系において窒素の循環を考えたとき、生物的窒素固定の農業への利用が環境負荷低減につながるものと考えられます。たとえば、マメ科作物における根粒菌による空中窒素固定は、マメ科作物の栽培において重要な窒素供給源となっています。

 近年、イネ栽培においてもエンドファイト(内生菌)による窒素固定の存在が知られるようになり、この窒素固定をイネ栽培に有効利用することができれば、窒素肥料施用量の低減すなわち環境への負荷低減につながるものと期待されます。イネ栽培時における窒素固定の程度を、間接法であるアセチレン還元法ならびに直接法である重窒素トレース法を用いて評価を行ったところ、栽培に用いるイネ品種および窒素施用量によって窒素固定の程度に差異があることが明らかになりました。現在は、窒素固定を高発現させるためのイネ栽培条件、イネ品種間における窒素固定能の差異ならびにその評価法について検討を行っています。



個別研究5 短期栽培イネによる窒素の吸収と収量


 野菜の栽培後圃場では、栽培時の化学肥料の多量施用が原因と考えられる残留肥効成分が存在し、環境への負荷が懸念されています。また、同一の野菜を連作すると、連作障害が発生して、野菜を作ることが難しくなります。これらの問題点に対処する有効な方法として、イネを栽培することが挙げられます。

 実際に、野菜の作型に、イネ栽培を組み合わせることを考えた場合、イネの生育期間が長いことがしばしば問題となりますが、極端に生育期間の短い短期栽培イネ(時無しイネ)を用いることで、イネ栽培を組み合わせることが可能になると考えられます。しかしながら、短期栽培イネには、極端に短い生育期間が原因と考えられる収量減や異常出穂の出現とそれに伴う品質の低下といった問題点が指摘されています。短期栽培イネが内包するこれらの問題点の発生要因ならびに克服方法について、遺伝的要因および栽培的要因の2つに分けて、検討を行っています。


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